あとがき |
このように長いお話を最後までお読みいただきまして、まことにありがとうございました。みなさまに厚く御礼申し上げます。また、前作の連載終了後、8年もお待たせしてしまったことにつきまして、この場をお借りしてあらためてお詫び申し上げます。 今回、第二部の連載を無事終えることができましたのは、ひとえにさまざまな形でご声援いただいた皆様のおかげです。 実は、2003年ころ、諸般の事情で第二部の完成を断念しかかったこともあったのですが、その後、前作のコメント欄にたくさんの方からご感想や励ましのお言葉をいただき、そのおかげで力をいただいて執筆を再開することができました。また、今回の連載中、挿絵の製造のために睡眠時間を削りすぎて体調を崩したことが何度かあったのですが、なんとか乗り切れたのも皆様からいただいたご感想やご声援のおかげです。ほんとうにありがとうございました。 以下はネタバレの内容を含みますので、本編をまだお読みになっておられない方はブラウザバックをお勧めいたします。また、あとがきにしては長文ですが、どうぞお許し下さい。 今回のラストについて、あれではヒロインが助かったのか死んだのかよくわからないじゃないか、いったいどっちなんだ、というご感想をお持ちの方がいらっしゃるのではないかと思っております。 実を申しますと、復活編の試写会で批判を浴びたダブルエンディング…ではないのですが、ラストをどうするかについて最後の最後まで(連載開始後も)悩み続けていたというのが実情です。 …前作終了時には、当然緑は生き残って真田さんといっしょに澪ちゃんを養育する、というつもりでおりました。 ところが、執筆を再開したころ、ちょうど復活篇が上映されまして、真田さんが自ら死を選ぶという選択をされたのを見て絶大なショックを受けました(科学者として地球から敵を観測したいなんて明らかに口実です)。 その上、その後、制作側関係者のブログで、実は真田さんが折原真帆ちゃんと恋愛関係になるという設定があった…という趣旨の記載を見かけ、さらに大きな衝撃を受けました。 真帆ちゃんはとても好きなキャラクターで、こう申しあげるのも何ですが、最初に見た時、「ストレートロングヘアの美人でコンピューター操作が天才的にうまくて白い隊員服で礼儀正しくて真田さんを尊敬している」って、なんだか緑に雰囲気が似てるなあ、という印象を持っていました。ということで、真帆ちゃんなら真田さんと恋愛関係になるのも納得できるし、それはそれでいいことだと思うのですが(恋愛関係だとすると、真田さんが作った6連発機構を起動させて真帆ちゃんが地球と真田さんを救い、本人は微笑んで死んでいった…というのもわかる気がします)、しかし、そうなると…… 真田さんが妻帯者では大変にまずいです。 ということで、復活篇を見てから、これは中学のころに当初考えていたストーリーどおり、緑には動力室で死んでもらうしかないのか、と悶々と悩んでいたというのが実情です。 (おかげで第9章のラストは20回ぐらい書き直しています。) しかしながら、連載中、挿絵として苦悩する技師長のお顔などを描いていますと、やっぱり真田さんにはなんとしても幸せになっていただく必要がある、そうでなくても身内や親友や澪ちゃんを次々に亡くして、ご苦労や悲しいことばかり多い真田さんに、これ以上悲しい思いをさせてどうするんだ、という気がして参りました。 「銀河鉄道の夜」のジョバンニではありませんが、真田さんのファンの中には、「真田さんのほんとうの幸せのためなら、私の体なんて百ぺん灼いてもかまわない」と思っておられる方が多いのではないでしょうか。 復活篇で真田さんが地球に残られたのは、おそらく、数億人+ユキが死んだことについての償い…というか、そういう形でしか自分の中の自責の念を処理できなかったのが動機ではないか、と思っております。 でも、だとすると、あの当時、もしまだ緑が生きていたとしても、たぶん「それであなたのお気持ちが安らぎを得られるなら地球に残りましょう。私もご一緒します」と言うでしょうから、真田さんが地球に残ったことと、妻帯者であることはそんなに矛盾しない…のではないかと思います。 また、もし復活篇の第二部が制作されて、そこで真帆ちゃんと真田さんの恋愛設定が実現してオンエアされたとしても、「さらば」の後18年余りもあるのですから、なにもここでいますぐ死なせなくても、復活篇までの間に病死した、ということにすればなんとかなるじゃないか、と気が付きました(なにしろ無茶を続けていますから、もともとあまり長生きしそうにない感じです)。 ただ、以上の考察について、いやいやそれは違うだろう、という方もたくさんおられると思いますので、そういう方には、動力室で目を閉じた段階で緑は死んでいて、真田さんは独身に戻り、以後、復活篇までの長い年月を過ごすんだ、とご解釈いただければと思っております。 そういうことで、大変に理由付けが長い上に結論が後回しで恐縮ですが、私の中では緑はなんとか生きております。 テレサのやってたのは軽めのヒーリングか何かで、「完全に元気にしてください」という技師長の願いどおりには無理だけれど、救命艇が到着して救急救命措置が始まるまではなんとか持ちこたえる程度にしてあげる、というのが「感謝の気持ち」の内容だよ、という感じでしょうか。 本来、作品というのはそれ自体で明快に完結しているべきであって、内容の解釈について後書きで釈明がいるのは駄作の証…だとは思うのですが、「逆襲のシャア」のラストでアムロは死んだのかどうかはっきりしないけれど、あれは続編を作るかどうか未定だったからではないか、という議論があるように、この後、あるかないかわからない復活篇第2作目を待つファン、という不安定な立場がもたらした現象として、なにとぞお許し下さい。 執筆中、エンディングについて上記のとおりあれこれ悩んでいたことや、青木くんたちにかなり残酷な結末を用意してしまったことに自責の念がつのったということもありまして(とはいうものの、青木くんの死に方は、絶望的な片思いをしている者にとってはある意味で究極の思いの遂げ方かもしれませんが)、最終的には、とりあえず原点に戻って自分が読みたいお話…「さらば」にショックを受けて泣き暮らしていたころの15歳の自分が読んで喜ぶようなお話を書こう、と思うようになりました。 そのため、今回の連載中からストレス解消のつもりでぼちぼちと始めたのですが、現在、緑が救助された後、真田さんが工作室に行って青木くんの遺体を見つけ、何が起きたのかを知る…ところから始まる戦後処理のお話を書いております。 原作でいうと「新たなる旅立ち」の部分で、みんなでイスカンダルに行って守とサーシャを引き取って帰る、という基本ラインは確定的ですが、徳川太助以外の新人キャラが生意気で苦手な上、なんといっても今回加藤くんと山本くんが健在のため、必ずしもあの展開になるかどうかはわかりません。なお、徳川さんは引退して孫の世話をしてますので、山崎さんは通常どおりご活躍見込みです。 復活篇で真田さんが古代くんを接待していた豪邸の正体は何なんだ、とか(官舎があんな豪邸だなんて、地球連邦政府がめちゃくちゃ贅沢で腐敗していない限り通常考えられません)、宇宙開発局長という中央のポストにいた真田さんが、どうしてイカルス天文台みたいな辺境の施設に行くことになったのか、とか、どうして手のかかるさかりの子供を抱えたスターシャが子供を残して死んだのか(KOBEの子供のおられる女性クルーから「母親としてありえない」と集中砲火を受けているのもごもっともです)、など、いろいろと素材としてふくらませると楽しい部分もあり、なによりも、これまで相当程度虐待してきた真田さんと緑に、第二部の第1章sect.1のような平和な結婚生活をもっと満喫させてあげたいな、という素朴な心情があって、それが主な執筆動機になっています。 ただ、上記のような執筆動機からして、内容がけっこう甘め(アダルト描写はありませんが女性向きロマンス小説程度の甘ったるさです)で、緑の暗い過去の生い立ちの話とかもあり、反対に「新たなる」にもともとヤマト側の戦闘シーンが少ないこともあって、メカ関係と戦闘シーンは極端に少なめとなる見込みですので、果たしてみなさまがお読みになられて楽しめるかどうか、と迷っております。現在54頁ですので、だいたい第二部の4分の1程度の分量まで到達しましたが、依然ヤマトは改造中で、飛ぶ気配すらありません(^^;)。 いつかまた御希望される方にお読みいただくための機会が作れたらいいな、と願いつつ、とりあえず、8年もかかった前回の轍を踏まないように、来年春の転勤までにせっせと書かせていただこうと思っています。 それでは、お世話になった方々、ご声援くださった皆様にこの場をお借りして御礼申しあげます。 >艦長様 今回も前回と同様、お仕事が繁忙な時に連載開始をお願いしてしまい、申し訳ありませんでした。また、CGIの設置関係ではいろいろとわがままな希望を申しましたことをお詫び申しあげます。新しいCGIのおかげで、挿絵の挿入や余白調整等、いろいろと演出の工夫ができました。多大なご尽力とご配慮を、ほんとうにありがとうございます。今後ともどうぞよろしくお願い申しあげます。 >メカニック様 緑をずっとご支持いただき、また、全話に素早いコメントをいただき、ほんとうにありがとうございました。連載している立場としては、読者様からの反応がないと相当程度モチベーションが下がるのですが、メカニック様のおかげで無事最後まで走り通すことができました。本当にありがとうございます。最後にご心配をおかけしましたが、緑は生きておりますので、どうぞご安心くださいね。今後とも緑をどうかよろしくお願いいたします。 >Alice様 前作に引き続き、多大なご声援をいただき、本当にありがとうございます。Aliceさんのコメントは、優しいお人柄が出ていて、読んでいるととても胸が温かくなります。体調を崩していたとき、Aliceさんが入れてくださったコメントで復活したこともありました。まことにありがとうございました。 >ミュウ様 女性ならではの視点と、楽しいツッコミの入ったコメントをいただき、ほんとうにありがとうございました。拝見していて一人で不審にニヤニヤして喜んでいました。あらためて御礼申しあげます。ありがとうございました。 >なんぶ様 前回に引き続き、コメントをありがとうございました。緑の某所を急成長させたのは男性読者様と真田さんご本人に喜んでいただきたいという動機によるものだったのですが、ご反応いただいて描いた甲斐がありました(^^)。ありがとうございます。もしご要望があれば緑のサービスショットをまた描かせていただきますね(今回、挿絵掲載機能がありますので、連載終了後にあとがきの後ろにギャラリーをつけようと思えばつけられそうです。)。 >ヨッシ!様 大人としての深いコメントをありがとうございます。政治向きの話とか職場管理関係の話って、8年前には書こうとも思わなかったし、書く力もなかったのですが、やはり40代後半になって職場で責任を持たされるといろいろ組織の裏がわかってくるんですね。その意味では執筆が遅れたことにも意味があるかな、と思っています。ありがとうございました! ほかにも、VIEWやBARでご声援いただいた皆様、まことにありがとうございます。あらためまして厚く御礼申しあげます。 それでは、ごらんくださったすべての方に心から御礼申しあげて結びとさせていただきます。本当にありがとうございました。 ぴよ 拝 |
ぴよ
2010年06月03日(木) 00時30分23秒 公開 ■この作品の著作権はぴよさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.5 ぴよ ■2013-04-29 23:39 ID:ac413gkU5Gg | |||||
第二部連載終了から3年余りがたとうとしております。 この間に2199の公開等もあり,当時知り得なかったいろいろなことがわかって参りました。 「新作には真田さんと部下の女の子の恋愛話がある」というのは,復活篇ではなく,2199のことだったんですね(汗)…当初設定では,情報長は真田さんと恋仲になるはずだった模様です。(…守に変更されて本当に良かったと思います) いつも,非常にお待たせしておりますのに,楽しみにしているとおっしゃってくださって,本当にありがとうございます。 おことばを励みに頑張りますので,今後ともよろしくお願い申し上げます。 |
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No.4 メカニック ■2013-04-28 10:29 ID:GZBNGHICF0A | |||||
「青のシルフィード」いつも拝見させていただいております。第三部、楽しみにしております。どうぞお体に気を付けて下さい。 | |||||
No.3 ミュウ ■2010-06-07 12:11 ID:/rKDRnAh3ks | |||||
「青のシルフィード第2部」完結おめでとうございます。 創作活動というのは、時間を忘れて没頭してしまうものなのでしょうがないのですが、ずいぶんご無理なさったようで体調はその後本調子に戻られましたか? ぴよさんのご無理のおかげで私達はとても楽しませていただきました。 無理をなさってのUPだと重々わかっていても 「次回作まだ上がってないかな〜♪」 と思ってしまうのが身勝手なファンの心理なのですが(^^;;) > 「後書き釈明は駄作」 と自嘲なさってますが、ぴよさんの本当のお気持ちがひしひしと伝わってきますので、個人的には大歓迎ですー^^ |
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No.2 なんぶ ■2010-06-04 15:51 ID:O8nvyEvOQ5. | |||||
真田さん、緑ちゃん、青組のみんな、そしてぴよさん、お疲れさまでした。 ぴよさんの『さらば・・・』の世界、楽しませていただきました。最終話を読みながら、私もボロボロ泣いて帰った15歳のあの日を思い出しました。 続編は楽しみですが、お体にお気をつけ、ゆっくり執筆なさってくださいネ。まぁ、緑ちゃんのサービスショットは早くても構いませんけど(^^;; あらめて、今回も素敵な作品をありがとうございました! |
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No.1 メカニック ■2010-06-03 13:28 ID:dPqLtHYdQoc | |||||
この三ヶ月間充実し、楽しい時を過ごせました。ありがとうございました(^^) 真田さんは影でヤマトを懸命に支え、そんな真田さんを緑が懸命に支える。微笑ましくも羨ましいそんな気持ちです。 青のシルフィード「新たなる旅立ち」編(仮)も楽しみにしています。 |
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